ジリア達はいよいよ四階へと足を踏み入れたのだった。
この時、ジリアはこの階の異常に気がついた。
『おーい、ゴーダ!』
『親分、なんでしょうか?』
『この階は、どうやら水のエレメントが濃く感じる、つまり水に関わりのある魔物が多く住み着いてるってことだ。 だから、お前の場合、魔法は補助か回復しかつかうなよ!』
『なんででしょうか?』
『お前が今使える攻撃系魔法の属性が火と雷だからさ』
『あ! たしかにそうですね!分かりましたっす!』
ゴーダはジリアの言葉の意味は分かっていたが、エルはジリアとゴーダに疑問を持った。
『ジリアさん、火は水に対して相性が悪いのは知っていますが、何故雷も使ってはいけないのですか?』
その質問にジリアは、
『水のエレメントが強い所はたいてい、水溜まりがあるんだ、ということは雷の発動先を間違えるとうちらに感電するケースもあるわけさ』
『成る程、つまり活躍に期待していないわけですね!』
エルの今の発言でゴーダはひどくショックを受けた。
そう会話するのもつかの間、早速敵がお出ましした。
なにか玉のようなもやもやした物がぞろぞろと集まっている。
『うげっ、結構出てきましたね、なんか幽霊みたいのですが。 親分はこの敵が何か分かりますか?』
『ああ、こいつは妖精で多分水のほうだな。 だが、妖精は、自分の住み処でも荒らさないかぎり襲うようなそぶりすら見せないはずだけどなあ・・・。』
と、話をしている中に、あちらは先手を打って出た!
ギュオンギュオン!!!
空間を圧縮し、水を溜め込んで凍らせ、先の尖んがった棒状の氷を作り上げ、それを飛ばしていった!!
『へっ、この程度、へでもねえぜ!』
ジリアとゴーダはサッ!と左右に別れて横跳びをしてよけた!
だが、水の妖精はその頭上から氷を作り上げ、出来上がった氷の塊を落として来た!
ジリアは更に早く横跳びしてよけた!
だが、ゴーダの足元には水溜まりがあり、水の妖精まで水の道が出来ていた。
水の妖精は魔法を唱え、その水溜まりを凍らせ、ゴーダの足の自由を奪った!
ゴーダ、危うし!
その時! ゴーダは、小さく言った。
『親分、悪いんですが魔法を使わせていただきます。』
ゴーダは、剣を盾に構え、両手の間に火のエネルギーを蓄積させ、素早く、人の頭ぐらいの大きさの火の球を作り、そして、氷の塊に向かって呪文を唱えた!
『ファイヤーボール!!!!』
呪文を唱えた瞬間! 火の球がまばゆく輝き、気性の荒く燃え盛る、ゴーダの人格を映し出したかのような炎が、氷の塊に向かって飛んでいった!。
そして、火の球は氷の塊を口から飲み込むかのように通り抜けて壁に激突して消え去った。
氷の塊はすでに跡形もなく気化するほどの温度になって蒸発していった。
ゴーダは再び、火の球を小さめに作り、足元に向かって唱えた!
『ファイヤーボール!!』
ボン!!
上手く、足元の氷を溶かしたが、強すぎたのか火傷をしかけるほどのあつさが足にきた。
『ああっちいぃぃーー!!!!』
ゴーダは必死に叫んでいた。
味方は愚か、敵すら唖然としていた。
この台なしなものを見てジリアは、『褒めようとした俺も馬鹿だった。』と語っている。
そうこうするうちにジリアは、不意をついて攻撃を仕掛け、自分のいるほう側をバッサバッサと切り倒していった!
残りは、六体ほどだ。
この状況で、ジリアはある事を思い付いた!
その内容は、今いる部屋の中を炎で囲む事だ。
水の妖精には、火は効かないが、水の妖精の攻撃方法は氷の武器や塊をつくって行うところにある!
つまり、氷の状態を維持できない状態にすれば、水の妖精は成す術がないのだ!
『ゴーダ! 今から、回りを火柱で囲む! だから、俺の所に戻って少し、俺を守ってくれ!』
『分かりました!』
ゴーダは、すぐさまジリアの所に向かう中、水の妖精はゴーダに氷の槍の応酬を仕掛けた!
ゴーダは再びファイヤーボールを使いながら、剣を使って氷の槍を捌き、ジリアを守りながら、ジリアが唱え終わるのを待った。
ガチッ!!
ゴーダの剣と氷の槍がぶつかり合う際に鈍い音を発した。
『くう〜!!!! 元は水なのにこんなにも硬いものか!』
その時!
ベキッ!!
ゴーダの剣に負荷がかかり過ぎたか、ゴーダの剣はへし折れて使い物にならなくなった!
『親分〜、もう限界です!』
そして、ジリアは呪文を唱え終え、ようやく魔法を発動させた!
『フレイム・リング・ゾーン ラージ!』
その瞬間!
ゴオオオオオッ!!!!
周囲は火柱で囲まれた!
ゴーダに向けられた氷の槍は近づくにしたがって、みるみる溶けていき、完全に溶けていった!
『これで、お前等はもう何も出来ない!』
ジリア達は勝利を確信した!
だが、水の妖精は何か様子がおかしかった。
『親分、なにか、無性に嫌な予感がするんですが・・・・。』
ゴーダの額からは汗が出ていた。
だが、それは部屋の暑さ故出なく、何か得体の知れない恐怖によるものだった。
突然、妖精らは近くに集結し、何かを唱えながら一匹の回りを残りの者が囲んでぐるぐる回り始めた!
ジリアは、この行動の意味を理解した時、もう手遅れだった。
『ゴーダ。
あいつらは、合体しようとしてるんだ!』
しだいに妖精達から、感じたことの無い重圧(プレッシャー)が空間に押し寄せてくる!
そして、妖精達は、唱えるのを終えて、その瞬間!
ピカァァァァァッ!!
まゆばい光にジリア達は目が眩んだ!
そして、光がやみ、まぶたをあけた時、そこには巨大化した妖精がいた。
少なくとも、体長は3メートルはゆうに越えてる。
『な、なんてでかいんだ。』
火柱に囲まれているとゆうのに、寒さ一筋しか感じないのだ。
ジリア達はただ、この光景に絶句した。
圧倒的支配と共に・・・・。
『親分!』
ゴーダは、あれを見てください!と言わんばかりに叫んだ。
巨大化した妖精は、妖精の目の前により大きな氷の槍を一度に複数作り、こちらに向かって飛ばして来た!
『だか、火柱に囲まれていれば、氷は直ぐ溶けるはずだ!』
しかし、氷の槍は、溶ける様子もなく向かって来ている!
『くそっ、より冷えた氷を使っているのか!』
ジリアとゴーダはサッと、横跳びをして避けた。
『どうしますか? 親分、このままでは・・・。』
『・・・・。』
ジリアとゴーダが話している間にも、妖精はまた氷の槍を複数に飛ばして来た!
休む事なく妖精は氷の槍を嵐の如く飛ばし続ける!
ジリアとゴーダはそれをまた避ける。
この動作の繰り返しで、ジリアとゴーダは、徐々に体力が減っていく。
『・・・・。 仕方ないな、ゴーダ、魔法装飾(マジックコーディネート)だ。』
説明
魔法装備(マジックコーディネート)
魔法には前回説明した通り、ゴーダが使うような本人の能力に左右する一般のタイプと、ジリアが使うような計算が問われるタイプがあり、マジックコーディネートは前文に該当する。
マジックコーディネートは対象者又は物に魔法で火や水等の属性を取り付ける術
これを行うことで、対象者はその属性を持つ存在になり、元々属性を持つ者も術の効果中は術の属性が自分の属性として設定され、さらに一度に消費する量が多ければより効果の高い属性が設定される。
ただし、この術は効果を維持するには、魔力を消費し続けなければならないため効果の高い場合はそれに比例して魔力を消費し、気軽に使い過ぎるといつの間にか魔力が残っていない状態になる。
しかも、属性が同じ敵に術中に攻撃すると、効果がないどころか、相手によってはかえって相手のエネルギーにされてしまうことがある。ちなみにこの術の効果中はその術と効果が同じ属性で攻撃を受けても無いだけである。
詳しくはまた後で魔法全般の説明をします。
『ま、魔法装飾って?』
『ともかくだ! いま、余力はたいして残っていないから、一発でかたがつかなけれだおしまいだ』
『あの、親分・・・・、魔法装飾って何です・・・。』
ゴーダが何かを聞く間に・・・。
『サンダースキン!!』
ピシャァーーー!!
ジリアが、呪文をとなえると、ゴーダの体とジリアの体に雷が覆われた。
『いいか、今は、物理的な攻撃は全て雷属性だ! だから、俺らあの妖精に向かって、ありったけの一撃をかませ! いいな!』
ジリアは用件を言い終えると素早く妖精の所に向かった!!
『いくぞっ!』
たくましく掛け声をあげ、ジリアとゴーダは槍の雨をかい潜ってつき進む!
だが、またもゴーダの足元に水溜まりがあり、道が妖精の所まで続いている!
ガチコチッ!!
またも、ゴーダの足を凍らせられた!
『これくらいなら、またファイアーボールで!』
だが、ゴーダに向かって氷の槍が飛んで来ている!
『こなくそっ!』
ゴーダは、体をブリッヂ状にして姿勢を低くした!
スッ!
なんとか、ゴーダは氷の槍を避けた。
だが!
ガシャーン!!!!
氷の塊がゴーダの頭に激中した!
妖精は、ねらっていた! 足を凍らせ、氷の槍で足を溶かすのを妨害し、ゴーダの頭にめがけて氷の塊を落とす事を!
『ゴーダァ!!』
その間にも妖精は、氷の槍を作り、ジリアに向かって飛ばして来た!
『こなくそっ!』
ジリアは、水溜まりが足元にないかを確認しつつ、前に進んで行く!
『わっ!』
エルが突然、妖精の目の前に現れ、妖精が立ちすくんだ!
ジリアは、この機会を逃さず、即座に妖精の所まで急接近した!
『渾身の一撃を喰らえ!』
ジリアは居合の構えから神速のように水平に切り裂く!
ガチィィィン!!
寸での所で妖精の体に氷の壁を張っていて、貫通はしたが、傷は浅かった。
しかし、妖精は、雷の一撃はそのまま入っているためか、少しふらついている。
『くそっ、あと一撃だ、一撃がはいれば倒せるのに・・・・。』
ジリアは、剣が氷の壁に貫通したまま抜けない状態であり、さらに体力的に妖精を倒すほどの雷を出す魔力すらない。
『終わったか・・・・。』
妖精はとどめと言わんばかりに氷の塊を作り上げる。
ジリアは、死を悟った。
『いっけぇぇ!!』
ゴーダが妖精の横から棒のようなもので、貫こうとした!
だが、ゴーダの方にはまだ壁がある。
このままでは、一撃が通らない!
『いくら堅かろうと、自分で作ったものなら自分で作った武器なら最低相打ちぐらいはする!』
なんと! ゴーダの手に持っていた物は妖精が作った氷の槍だ!
確かに、自分の作ったもの同士なら能力は互角、互いに崩す事になる。
ガシャァァァァァァッ!!!!
計算通りに、槍と壁は両方とも崩れていき、壁にぽっかりと穴が開いた!
妖精はいま、丸裸も同然である。
『俺の拳の一撃をくらいやがれッ!!!!』
ゴーダは、拳に力を溜めて、右ストレートを放った!
ズドオオオオオン!!!!
妖精は、この一撃で一気に吹き飛び、元の六体にバラバラになって消え去っていった。
『ハァ、ハァ・・・・。』
『お、親分・・・・。』
『二人とも大丈夫ですか?』
エルは二人を心配するが、ジリアもゴーダもヘトヘトであった。
『エル、敵がいないか回りを見てくれ。』
エルはそれを聞き、周辺をくまなく回りに行く。
ジリア達はこの場所でキャンプを行うことにした。
ゴーダは、ジリアを寝かせつつ、辺りを警戒して体を休めた。
『かなり親分は疲れているっすね。』
プログラム型の魔法は魔力の消費は少ないが、普通の魔法より集中力を使う魔法で、集中することに体力を消費してしまうのだ。
※魔力と体力の関係も後日詳しく説明します。
その時!
突然目の前に倒したはずの水の妖精が現れた。
『親分!』
直ぐに目を覚ましたジリアとゴーダは直ぐに武器を構える。
しかし、先程とは違う様子でこちらを見ている。
『剣を納めてください。 先程は試していたのです。』
妖精はそう言った。
パァァァッ。
妖精は魔法を唱え、優しい光と共にジリアとゴーダの傷を癒した。
『それと、数々のご無礼をお許しください。』
『ちょっと悪いんだが、話が全く分からないんだけど・・・。』
ジリアは不思議そうに言った。
それもそのはず、いきなり襲って来た敵が手の平を返すように態度を変えたのだ。
『とりあえず、何があって、そして何故俺達を試したんだ?』
すると、妖精は語った。
『実は、何者かが精霊様と共にここに召喚して、精霊様を操り、精霊様を止めようとしたのですが、私たちでは太刀打ち出来ない状態になったのです。』
『な、何だって!?』
『親分、精霊って、下級の神みたいな存在と聞きます。』
『そうだ、つまり、さっきのなんか比べようがないって事だ。 ったく、今回のターゲットはどのくらいヤバイ奴なんだよ!?』
『でも、その話で、その不審者は、エルフであることがわかりますね。』
その時、ジリアは今のエルのセリフを聞き直そうとした。
『エル、今なんて言った?』
『えっ? は、はい・・・。』
『たしか、その話で、その不審者は、エルフであることがわかりますね。 と言いましたが、何か?』
そのエルの言葉にジリアは、頭に事の核心が浮かび上がった。
俺(ジリア)は推測はこうだ。
精霊クラスを召喚するには、ゴーダに以前説明したが、巨人を殺す武器を作るには精霊が作った武器(ダイヤモンドの武器)をエルフが仲介することが条件であり、この精霊の召喚もエルフが直接行わなくてはならないため例外ではない。
例外で召喚できる人間もいるがそんなのは極僅かな人間でそもそもそんな人間がこの大陸にはまずいないし、いたとしてもこんな事をする人間じゃあない。
つまり、エルフが行うのなら話は分かる。
なんせ、その不審者は協力な魔法を使い、魔物をここまで大量に召喚できるなら少なくとも、人間ならかなりの有名なかたで、そんな方なら、一目で兵士は分かるだろうしな。
だが、エルフは自然保護を信仰する種族でたまに過激派もいるし、エルの言うバルの話を考えれば、バルの意思を継ごうとか考えてるん馬鹿野郎なら筋は通る。
『ところで姫様、何故今回のターゲットがエルフだと?』
ゴーダはまだ分かっていなかった。
『精霊は、基本的には人間を嫌うから、召喚する時にも術者を見て人間かエルフで判別するのですよ。 それと、呼ぶのはエルでいいとおっしゃいましたが。』
『いやぁ、何となくそう呼ばないと死人とは言え抵抗があるんですよ。』
人間、風習が身につくとなかなか直せないものである。
『あくまでそれは推測にすぎないから、とりあえず今は精霊が操られている状態をどうにかしよう。』
『親分、俺らなんかが精霊とやり合えるか不安ですし、今俺の武器がめちゃくちゃでして。』
そういうと、妖精は突然魔法を唱えだした。
『なっ!?』
突然の行動にジリアとゴーダは戦闘態勢にはいった。
『違いますよ、ゴーダさんの装備を作っているのです。』
『あっ、さっき見たく氷でか。 でも、氷なんかで大丈夫ですかねぇ?』
さっき、その武器をへし折った物は何だったかと心の中で突っ込む一同であった。
・・・・・・・・・・・・。
しばらくして、妖精は、丹念に力を込めて、氷で出来た刀と縦長の盾、そして、ジリアとゴーダ二人分の鎧と兜を作り上げた。
『時間をかけ、魔力を込めて作りましたので、強力な火を浴びないかぎり溶けることはありません。 それに、並の鉄で出来たものより丈夫で身軽ですし、壊れたら、私がまた時間をかけて作り直します。』
試しにジリアが今着けている極普通の鉄製の鎧を外し、氷の鎧を来てみた。
流石に、氷で出来ているからか、少しヒヤッとしているが、今は真夏であるからちょうど良い。
『うひゃあ、少しひんやりするがこれならより機敏に動けるよ。』
一方、ゴーダは何やら興奮を隠せないほどの事があるようだ。
『親分、この刀、業物に匹敵するくらい軽く切れ味がいいですよ。』
ゴーダは自分の壊れた武器を試しに切ったらしい物を見せた。
確かに、氷とは思えないほど鋭く、そして刃こぼれ一つ残さないほど頑丈に作られている。
『申し忘れましたが、これらは全て無属性です。』
『え?水系の魔法で作ったから水属性が付くかと思いました。』
ジリアはここでゴーダの疑問をさくっと答える
『属性ってのは属性に関わるもので直接ぶつけなくてはいけないが氷みたいな固体になった物はただの物理的なものとして扱われる。 ただ、氷から発する冷気は水属性に値するが、今回の武器にはそれに値するほどの冷気はもっていないし、寧ろここではないほうがいい。』
『あっ、そうか! 確かに次の相手は水の精霊ですからね。』
軽く会話をしていよいよ・・・。
『よし、その精霊の所に行こう。』
ようやく、疲れが取れた一同は、妖精に案内されて、ついていった。
はてさて、この先、水の精霊とは、いかなるものか?
不審者の真意、国の黒い部分、そして、バルに隠された秘密とは?
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